江戸芸術論

一応、岩波文庫で読んだ。

しかし、しかし、しかし、あああー。どこかで紛失したらしい。酔っぱらってたからかしらん?

西東京図書館にアマゾンで買った中古本を持っていく。

天明以降の美人画によりては、専制時代の疲弊堕落せる平民の生活を窺ひ、身につまさるる悲哀の美感を求めし所以とす。

日本都市の外観と社会の風俗人情は遠からずして全く変ずべし。痛ましくも米国化すべし。浅間しくも独逸化すべし。

細流に添ふ風流なる柴垣のほとりに侍女を伴ひたる美人佇立めば、彼方なる紫折戸より美しき少年の姿立ち出で来れるが如き、いづれも情緒纏綿として尽きざるものなり。

北斎は美麗なる漢字の形容詞を多く用いたる紀行文の如く、広重はこまごまとまたなだらかに書流したる戯作者の文章の如し。

クロード・モネエが四季の時節及朝夕昼夜の時間を異にする光線の下に始終同一の風景及物体を描きて倦まざりしはこれ北斎の富士百景及富士三十六景より暗示を得たるものなりといはる。

写楽の濃く塗りたる白粉のために男にもあらず女にもあらぬ一種怪異なる感情は遺憾なく実写せらりたり。

月岡芳年は王政復古の思想に迎合すべく菅公楠公の歴史画を出だして自家の地位を上げたり。

旧劇について、師匠の鴎外に真っ向から反対しているのは面白い。