本
第一部で現状をこれでもかと提示し,第二部でその裏に潜む構造を描き,第三部で展望を述べています。石油より水の方が直接生命に関わりますが,エネルギー企業が水に手を伸ばしてもいるのです。つい最近もアルゼンチンとフランスがスエズ社をめぐって論争に…
明晰さを旨とする筆者をもってしても,哲学の話になるとやはり難解。かつて最もサクサク読めた「シチュアシオン」にしても,実際かなり暴力や人間やらの概念はキワドイ。全体としては硬軟取り混ぜ,まとまってるようで脱線するなど,読み物として相当面白い。
この人の本は4冊目。相変わらずゲーム感覚に溢れているが,エロはかなり図式的かも。真陰流の所作などはどーしても説明過多で却って分かり辛い(当然カタカナ厳禁だし)ので,こういう作品こそアニメ化してほしいものだ。十兵衛・牛之介・踏水鬼・小桐・忘…
ユマニスムにも祖国愛にも興味はないし,やや高踏的におもえるが…。 「その卑屈,その無智,その狡猾……あらゆる悪徳を実にケチ臭いほど少しづつ皆持合はせてゐるから恐ろしいのです,いかなる真も善も彼ら(日本人)からは生れません。(1945・10)」「『愛され…
読みながら,川本センセの授業を受けていた頃を思い出した。変形生成文法の話になると睡魔が…。いや,それ以外の下世話な話は楽しかったんですけど。取り上げられてる文章もバラエティに富んでる。あの頃は新聞も小説も未だ面白かったんだな。
1936年の作品であることを解説読んで知った。21世紀になっても,掃いて捨てるほどあんだろーな,こんなヨロメキ私小説。そこに監獄への面会やオンナの自立などがスパイスとして加わるのは60・70年代にも多くあったパターン。だから,結婚こそが最大の変態な…
「文化というものは,ある底辺を持った根強さはあるが,その上に築かれている部分は意外に脆いものであって,愚かな権力者が現れて,その文化を無駄なものだと無茶なことを言い出すと,簡単に崩れて,抵抗力がない。みんな落ちるところまで落ちると,却って…
トイレで2ページずつ読んだ。記号学の話以外はさほどめんどくないし,時代遅れというわけでもない。株式会社をフラ語ではソシエテアノニム(匿名社会)っていうのね。
新地図から文字がゴチックになり,温泉が所謂温泉マークに戻るなどの変化があったのね。地図がやや小さいので,版型をもう一回りは大きくしてほしかったところ。それでも基礎知識が確認でき,充分行った気にはなる。
「朝のコント」を読んで感心したのは18歳のとき。その姉妹編とも呼ぶべきこの本をようやく読むことができたのだが,むしろ陰鬱で死の影に憑かれて殆ど救いのない噺が中心のように思われる。ユーモアも灰色というか…。いや,絶望の世紀である21世紀にこそしっ…
筋にはついていけんが,<この世も終わり くつ屋><巨人ザラトウスキー>などのキャラは立っている。
何となく既読感があるのは,文章がブログみたいだからなんだな。四年生のイタリア人少女って設定だが,作者は60近いオッサン(ロベルトって名前からすると)なんだよな。南欧とマグレブは近い。ガンブリなる民族楽器が最後にちょっとしたオチになるんだな。…
んで? と云いたくなる形而上学的な地図論。いくら10年前とはいえ,新味に欠ける内容。
>>「色」は,ひざまずいた女性を後ろから抱き,背後からおおいかぶさってまじわっているさま,すなわち「後背位」というラーゲ,いわゆるバックからの性交のさまをかたどった漢字である。面白かったのはココだけ。他は眉に唾つけつつ退屈なので流し読み。
改版といっても大した変化はなさそう。やおい風に始まり,何やら芸術家の懊悩に包まれるほぼ100年前の小説は現代的かも。ドイツ人にありがちな地中海紀行でなくデンマーク行きってのが新鮮。
母・妹・二人の妻…この主人公になっていたかもしれないと思わせる業のみは認めよう。でも,大した話ではない。