敗戦日記(渡辺一夫・博文館新社)

ユマニスムにも祖国愛にも興味はないし,やや高踏的におもえるが…。
「その卑屈,その無智,その狡猾……あらゆる悪徳を実にケチ臭いほど少しづつ皆持合はせてゐるから恐ろしいのです,いかなる真も善も彼ら(日本人)からは生れません。(1945・10)」「『愛されない能力』と仏訳された Unbeliebtheit という性質が,……奇妙な匂いを帯びて,我々にもありやせぬか。この『愛されない能力』を自省し,この抹殺に心すべきである。(46・1)」「大変がない国は,外に道を講じ,自己を厳しく鞭打たぬ限りは,……うっかりすると,人類に多少役立つ野獣か,人類に有害な動物かになるだけかもしれない。(46・12)」