ISBN:4788796325:image(串田孫一・時事通信社)

「文化というものは,ある底辺を持った根強さはあるが,その上に築かれている部分は意外に脆いものであって,愚かな権力者が現れて,その文化を無駄なものだと無茶なことを言い出すと,簡単に崩れて,抵抗力がない。みんな落ちるところまで落ちると,却って気分がさっぱりしたような錯覚を抱いてしまう。……その点で,文房具類は,戦争中に質は落ち,殆ど役に立たないような代用品も現れたが,ともかく文化を守ろうとする抵抗があった。」俺は万年筆もペーパーナイフも使えない不器用な人間だが,文<房><具>ってのは無機質なのにも関わらず名前からしてエロティックだもんな。串田氏の文章も処々,ハッとするほど性的に感じる部分があるよ。