朝鮮人強制連行 (岩波新書)

朝鮮人強制連行 (岩波新書)

 

 徴用実施以前において朝鮮総督府内務省,雇用企業の関係者自身が「強制的」「拉致同然」と言うような要員確保は行われていた。また労務動員実施の初期の段階では,経済的な理由から離村を希望していた朝鮮人が日本内地にやって来たことは事実であるが,これも日本政府の国策が背景にあること,職場の移動を禁止されていたこと,就労期間延長が強いられ,戦争末期まで炭鉱等での労働を続けていた場合には徴用された扱いとなっていたという事情がある。

↑ のまとめでほぼいいような気がする。

・(朝鮮人有力者の)非協力や反対は,村落の中の最下層の朝鮮人が相対的によい条件の日本内地の職場を選択するのを防ごうというものであった。 …村落のなかで農業労働者が減少し,その賃金を高騰するのは痛手であったのである。

・もともと朝鮮総督府側は朝鮮北部の工業化のための労働力を確保しようとしていたことに加えて,農業生産の維持のためにも多量の日本内地への労働者送出は避けたい意向をもっていた。

というような事情は朝鮮側にもあったらしい。にもかかわらず,

・大量の朝鮮人の日本内地への移動は…日本人の間で歓迎されなかった。それは…朝鮮人の存在が日本人を脅かすといった危機感とかかわっていた。しかもそうした意識は戦争遂行によって日本人青壮年男子が日本内地において減少し,朝鮮人が生産の重要な要素を担い,相対的に「上昇」していくことで,ますます強まっていった。

朝鮮人労働者を不利な条件で働かせることを当然とすることによって,日本人労働者の待遇も改善されないままとなったことを意味している。そのようにして,過酷で危険な労働環境であることが知れ渡っていた炭鉱では,監獄部屋のごとき労務管理がむしろ再び増えた。

のだった。☆☆★