ショック・ドクトリン〈上〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴く
- 作者: ナオミ・クライン,幾島幸子,村上由見子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/09/09
- メディア: 単行本
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うーみゅ,ワレサやマンデラについては,やや甘い気がするな~。続編にはニホンが描かれることになるのだろうな~。粛々とφ(..)メモメモ ☆☆★
通貨危機や株式市場の暴落,大不況といった深刻な経済的危機が勃発すると,他のことはすべてどこかへ吹き飛び,指導者は国家の緊急事態に対応するという名目のもとに必要なことはなんでもできる自由を手にする。危機とは,合意や意見の一致が必要とされない,通常の政治にぽっかりあいた空隙ーー言わば民主主義から解放されたフリーゾーンなのだ。
(ワン・フイは)当時(天安門事件の)抗議運動に参加したのは単にエリート学生だけでなく,工場労働者や零細企業の経営者,教員など中国社会の幅広い海草にわたる人々だったと説明する。鄧小平の「革命的な」経済改革によって賃金は下がり物価は上昇し,「解雇と失業の危機」が起きたことに対する民衆の不満が,抗議運動の発端になったというのである。
アパルトヘイト時代に黒人労働者を使って膨大な利益を得た白人企業はびた一文賠償金を支払わず,アパルトヘイトの犠牲者の側が,かつての加害者に対して多額の支払いを続けるという構図である。しかもこの多額の金額を調達するのに取られたのは,民営化によって国家の財産を奪うという方法だった。
オリガルヒは所有する銀行が,かつての国家資産の誇り高き新所有者となったのである。これら国営企業の株式購入にあてた資金は,おそらくエリツィン政権の閣僚たちがかつてそこに預けた公金にほかならない。言い換えれば,ロシア国民は自分たちの国を略奪されるための金を自ら提供したということになる。