天涯孤独の少年・良を「宇宙人」呼ばわりし,土に埋めて上から泥水をかける中学生たち。あげくは自転車でひき殺そうとし,手を下駄で踏み,狂犬をけしかける。次郎は「可哀そうだよ,酷いよ」とは言うものの傍観するのみ。「頭からガリガリ食われてもいいのかよ」「こいつをほっとくと,今に俺たちがやられてしまうんだぞ」「我々人間様にはあの手の顔はねぇよな」…うゎ,すげぇな,この異邦人観。伊吹「日本人は美しい花を作る手を持ちながら,一旦その手に刃を握るとどんな残忍極まりない行為をすることか」
商店街にも噂は広まり,パン屋でもパンを売ってもらえない。「うちパン屋だもん」と少年に食パン120円を売る小田急線沿いのパン屋の娘が可愛い。
メイツ星人は地球の汚れた空気に冒され衰弱していた。地球を捨ててメイツ星に行くという少年とともに,郷が地中に隠した宇宙船を鶴嘴で掘る←いや,メカを使えよメカを(^_^;) そこへ関東大震災の自警団よろしく警官を先頭に長棒や鎌で武装し押し寄せる市民のみなさま。警官があっさり発砲し,メイツ星人は緑の血を流して死亡。怪獣ムルチ登場。「怪獣をおびき出したのはあんたたちだ。まるで金山さん(メイツ星人の日本人名)の怒りが乗り移ったようだ」と醒めた目で眺める郷。
怪獣が倒された後,一人で台車を引っ張り,宇宙船を掘り続ける少年。MAT隊員が言う如く「地球にさよならが言いたい」のか? 人類とM78星雲人の加害により殺される怪獣と異邦人…というウルトラQ以来シリーズ特有の裏テーマ。私みたいに圧倒的に後者に肩入れする者はこの世界から蒸発するしかないのであろうか?