墓地展望亭・ハムレット 他六篇 (岩波文庫)

「骨仏」はありがちな話と思われるが、1948年の発表とあれば嚆矢かもしれぬ。

「生霊」はユーモア小説?だが、辣韭(らっきょう)ってこんな字書くんだな。

「雲の小径」は聖路加に運ばれて、麻布市兵衛町と云えば荷風のソレだが。なにこの霊媒噺。

「墓地展望邸」は久生十蘭の通常営業だ。懐かしいなぁ、このグイグイ引き込まれる感! もはやフランス映画の台詞になっている。明日自殺しようとする日本人ランティエ、リストニア王女とスレチガイ。コソヴォ橋の袂って! 冒険活劇だから、ご都合主義でいーのだ。

「湖畔」芦ノ湖畔に三ツ石&仏ヶ崎なんかあったっけ。まあ、ひでぇゴミ華族ではある。で、箱根共産団って何だよ? 

ハムレット」ベーコンを右手人差指に巻きつけて食う老人。性格類型の話らしい。シェークスピアは気狂いを主人公にして、正気な人間を大勢まわりでうろうろさせる…。

「虹の橋」栃木刑務所生まれ、東京養育院板橋本院育ち。二代に渡って不遇でしたわ。

「妖婦アリス芸談 ムールは油虫そっくりの黒々した貝で、シジミのお化けなんすて。サロンでアポリネールローランサンやミショーと面識があったんですって。