武蔵野夫人 (新潮文庫)

何十年ぶりの再読だが、第一章から引き込まれる。

溝口健二監督・田中絹代主演で映画化されてるのも頷ける。

フランス文学がまだメインストリームに存在していた時代。

宮地老人の、門を南の多摩川側に作り、駅に近い上道に小さな木戸を設けるという思想は正当なり。

戦争に行くと地形に注意するようになる。玉川上水から引いている野川の意外な水流。ここでは源流は恋ヶ窪ということになってるのね。

富子のコケットの媚態畏るべしやね。

西武多摩湖線の終点は狭山公園駅だったらしい。

荏原の高台って不動前から林試の森辺り?

多磨霊園は谷中や青山の古い明治の墓地と違った明朗な景観を与えるのを適当と認めたこの辺の役人の策謀だった。

口絵の地図がなかなか推理小説みたいで面白い。

昼ドラの元祖本家とも云えるが、地理的背景が深く刻まれているのが印象的。