あらくれ・新世帯 (岩波文庫 緑 22-7)

いきなり「尾久の渡し」か。

業突く張りな母がキツイ。

そして、大師というのは西新井かな。侘しさがつのる。

これまでどこへ行っても頭を抑えられていたような冷酷な生母、因業な養父母、植源の隠居、それらから離れて暮らせる! 無論、色男の亭主やそれに戯れる女たちも。

月島の景気の良い請負師。

眠っているような根津の通りが、上野の博覧会の永享で賑やかだったんだと。

銀座に仕入れ行くのに須田町は気後れするのが不思議。

学生服でひと稼ぎ。やがて、人生にあらくれとなる、か?

お島は、明治の女の一つの典型なのかも。

「新世帯」は分かりやすい。なかなかに満たされない夫婦に、試練?が巻き起こる。