永井荷風と部落問題

筆者は高知の高校教師→校長という経歴だが、意外にもマトモなヒトっぽい。

傳通院裏の久堅町の穢多町の鳥追三味線という記述が消された理由から探る。荷風は水平社にも殆ど悪いイメージしか持ってないし、伏字なり書き換えなりには、本人の意図も含めて、やはり保身が働いていることは間違いなかろう。

尾崎紅葉の父は幇間だった。坪内逍遥の母は娼妓だった。

河上肇夏目漱石も被差別民には文切り型の認識しか持っていなかった。

そんな近代だった。

で、なぜか中盤から解放同盟やら日共やらとの言論武勇伝? 極私的趣味の世界。荷風ファンとしての映画中心のトリビアが続く。しかし、荷風は「裏町人生」が好きだったのね。高円寺で芝木好子に遭遇した話。

しかし、高知県在住なのに随分と東京の右半分を歩いてるのだな。