もう46年も前の本。戦争によって配偶者を喪ったり得られなかったりした「婦人たち」の物語…というか聞き取り調査。母親世代の話なのではある。そして、当時は超インフレ社会にして、結婚率が異常に高い時代だったのだな。

うん、確かに「比較的めぐまれている層の実情」が多いのは難しいところだな。実際はもっともっとドロドロした個人史があるのは容易に想像できるから。

とはいえ、ここに取材されている婦人たちの個人史は悲惨なものもあるが、意外と豊かではある(経済的にはさておいて)。

ひとつ興味深かったのは、洲崎の辺りでのエピソードだなあ。

そして、老後は、公的施設であろうが小さなグループ共住であろうが、漠然とでも僅かな希望があるんだなあ。

もはや私自身が前期高齢者直前だからなのかもしれないが、身に沁みる。にしても、このクニとか社会とかの停滞の絶望性ときたら…!