ダーチャと日本の強制収容所

ダーチャと日本の強制収容所

 

 モラビアパゾリーニマリア・カラスを加えてアフリカのユースホステルに泊まった母トパーツィアはフォーヴィスムの画家。東京駅で出征兵士を見送る若者達に恐怖を感じ,北大でアイヌ研究をしようとした父フォスコ。二人はムッソリーニへの忠誠を拒否した。祖父母も妹達も数奇な人たちである。☆★

極端な競争社会で権威主義的な日本では,攻撃性や競争をやわらげるために贈り物をし,儀式をとりおこなうのだ。

母親の手記や作家の回想や筆者(望月氏)の地の文やらが入り混じって,何やら全体が1本の映画のようにも見えてくる。壮絶なのは名古屋の「収容所」での食い物捜しと<ユビキリ>。

ヨーロッパ人にとって,プラグマティズムは便法もしくは諦観という低次元の哲学であるが,日本人にとっては神秘性を帯び,事実は常に正しい,戦争は最高のスポーツのようなものだ。