面影と連れて(うむかじとぅちりてぃ) (目取真俊短篇小説選集3)

面影と連れて(うむかじとぅちりてぃ) (目取真俊短篇小説選集3)

 

 12編中,8作は既読なれど,久々なので新鮮な気分で読んだ。特に「内海」「面影と連れて」「群蝶の木」はやはり強烈だわ。4作は未読(うち3作は2004年のもので,純然たる新作?は「浜千鳥」のみ)だが,まぁ延長線上の作品といえようか? 「群蝶」のゴゼイが若い警官に言う言葉「不良米兵から部落の婦女子を守るから協力してほしい? 何で,あんたらは戦争に負けたんじゃないね。負けたら女はみな,アメリカ兵達の戦利品さ。あんたの妻も娘もアメリカ兵にやられたらいいさ」は,そのまま「浜千鳥」のフミの運命に通じる。そんな中,「署名」は殊更舞台はオキナワでなくてもよいホラー調の話で,異色作というべきか。ただし,死者をして亡霊として語らしめるという手法はややマンネリかも。☆☆☆☆