魔の沼 (ジョルジュ・サンドセレクション 6)

魔の沼 (ジョルジュ・サンドセレクション 6)


コマローヴィチに触発されて初めてGサンドを読んでみた。一読,直球の下世話なメロドラマで,世界名作劇場あたりでアニメ化されててもフシギではない。信じられないほど聡明で,けなげで,所帯じみていて,よく喋るマリは魅力的だなー>あまりにも如才なさ過ぎて策略ではあるまいか?とよこしまな私なんぞは疑ってしまうけど(´Д`) 道に迷いまくり,強姦魔?に追われながらも,一周り年上のジェルマンを翻弄しまくる(>_<;) サンドはゴーシュでありながら(というよりは「人道的」ゴーシュであるがゆえに),家族や結婚制度に批判的には見えないし,キリスト教(それが正統なものであれ,サンド自身の調査にも拠る土俗的なものであれ)にも従順で,きわめて保守的である。この牧歌的ユートピア小説は,19世紀半ばのフランス中部であったからこそ可能であったのかもしれない。産業革命と帝国主義の暴風が吹き荒れ,再び時代がホルバインを必要とする前奏曲としての…。