カラー版 名画を見る眼Ⅰ 油彩画誕生からマネまで (岩波新書 新赤版 1976)

あのベラスケスの「ラス・メニーナス」をファン・アイクは凸面鏡によって遥か前に先取りしていたわけか! その後のページで2つの絵の相違点を語っているが。

ボッティチェルリの「春」のフローラとニンフは同一人物。「三美神」は愛欲・純潔・美を表すらしい。その弁償的な輪舞は秋の豊穣を約束するということかな?

メランコリアIの人物は女性なのか。黒胆汁の多い頬杖をつく憂鬱質。

レンブラントのフローラは画家自身の人生の浮沈を示す。

フェルメールは二百年はやく印象派の問題を先取りしていた。

ワトーの「シテール島」は「への船出」より「からの船出」の方が相応しい。

ゴヤは四十代半ばで聴力を失った。

ドラクロワのスケッチは早かったらしい。

クールべは思想的に革命的だったが、画家としてはマネの方がずっと革命的であった。