片隅の人生 (ちくま文庫)

片隅の人生 (ちくま文庫)

 

 モームの小説なんて読んだ記憶がほとんどないが、非常に読みやすい。東南アジアを列強が支配していた時代。ニッチを生きる小悪党どもと気まぐれな名医サンダース。召使男の中国人アー・ケイが妖艶なり。

そして、適量のアヘンならば嗜好品なのだな。

日本人は潜水にかけては最高だが、体力がないんだとさ。

嵐に遭ってひとり恐怖にかられるサンダースは何だかんだでインテリなわけで。

ワーグナーの楽劇のレコードを聞いても、「すこしかび臭いもの」を感じて、中国の「もっと優雅な複雑さや、もっと品のない旋律に親しみを感じる」のである。

たわいもない自殺と情事と殺人。

民主主義国に住んでいること=買収できない人間なんて一人もいないということ そう、権力者の息子は殺人をしようが強姦をしようがお咎めなし