新装版 海も暮れきる (講談社文庫)

新装版 海も暮れきる (講談社文庫)

 

 いやー,放哉イヤなヤツだな~。一廃人功成り万骨枯れましたよ。まー,吉村が同病相憐れむ持病を持ってたから,ここまで多少は救われる人格に描かれたけど,実際はどうだったもんやら? 漱石の道草同様に,カネの無心(郵便出しまくり!),親類縁者の酷薄なんてのはリアルで良いのだけど,こりゃあ同人の先輩後輩やら堪ったもんじゃあるまい。それにしても,夢精するほど愛おしい元妻・馨のエロさはイイ! 葬式に来て普通以上に泣き崩れるのは興ざめだけど…。小豆島の人々の純朴さと裏腹の俗物加減,そして意外と寒い所だってのは知らなんだ。酒乱ぶりと肺病病みの苦しみからの身体の衰弱はひょっとしたら未来の自分の姿かも知れんので身につまされましたよ。☆☆☆