クヌルプ (新潮文庫)

クヌルプ (新潮文庫)


壮年期のドンファンぶり?を描いた第一部,老年期(といっても40代なのだが!)の肺病病み→死の過程で人生を懺悔する?第三部。「私」の視点から主人公クヌルプの青春期を描く第二部をその間に挿入したのはヘッセの選択であるが,この部分がもし最初や最後にあっても,それなりに効果的なようにも思われる。初恋に破れ女性不信になりヲタ趣味に走り他人を悦ばせながら放浪するマレビト〜孤立も連帯も畏れないクヌルプは,つまりヒッピーである。神を肯定も否定もせず,人間の友人のように付き合うのだ。ヘッセの本は殆ど読んだことなかったが,意外と面白いじゃないの。