・昇進拒否の理由を貫いているのは,家事労働など,人間に不可欠な私生活の時間を無視した極端な長時間労働への男女双方が抱える不安だと言えるかもしれない。

・非正規が主流の働き方になり,シングルマザーなど世帯賃金が必要な女性までがパートで働くしかなくなったとき,「第三号」の賃下げ圧力は,こうした人々の貧困を促す結果も招いた。

・専業主婦回帰というより,むしろ「カネ離れ文化」の男女が,伝統的専業主婦家庭の殻をかぶって暮らしている…という世界が水面下で広がっている。

配偶者控除はやはり,妻への労働対価と言うより,夫への奨励金を出自に持っていたことがわかる。

・男性は自発的に機械となり,生身の身体を壊す働き方へと自分を駆りたてていく。…「女性の活躍」の名の下に,「働く機械」としての酷使が女性にも及び,同時に「女ならだれでもできるタダの仕事」という従来の家事への蔑視と偏見を利用して,男性が行うものも含めたケア的労働への買いたたきが強まっている。

・「お上の権限」を行使する公務は従来型賃金の正規のまま残り,「家事的公務」ともいえるケア的部門は,「女性ならだれにでもできる仕事」として低賃金化・不安定化していく。…再生産領域の軽視は,こうした転倒にもつながっている。

すぐれて現在進行形で興味深かった。☆☆☆