グランド・ブルテーシュ奇譚 (光文社古典新訳文庫)

グランド・ブルテーシュ奇譚 (光文社古典新訳文庫)

 

 うん、人物描写や社会描写に長けていたバルザックというイメージだけど、自然描写にもその力をいかんなく発揮してフローベールともモーパッサンともまごうようなテキストを紡ぎあげるのだな。

表題作はお決まりの姦通小説ですけど、みんな大好きだよね、素晴らしい。「ことづて」の伯爵夫人の描写も可愛すぎるw  老いた盲目のクラリネット吹きのヴェネツィア黄金の回想は何だかネルヴァルを思わせる。フィルミアーニとは誰か…ってな演劇/映画のようだわ。

僅か50年の人生ながら、書き続け、不倫しまくり、それなりの名誉とゼニを手に入れ、王党派としてブレず、うーーん、やっぱ気に入らんヤツだわさ。