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新編「昭和二十年」東京地図 (ちくま文庫)

新編「昭和二十年」東京地図 (ちくま文庫)

 

 23年ぶりに読んだ。この本に収められた写真の実物は恐らくもはや既に無い。しかし、80年代後半に大方の現物には会いに行ったのだった。

厚生とは、生活に厚みをもたせよくすることなのであるけれど、生活が自動化していくことは、…合理性と機能性を優先させることにつながり、…「自動」を受け容れる精神態度は国家による合理的機能的労働力管理・配置をも受容するのである。…ムダという小さな失敗をたくさん持った豊かな経験社会を経済的でないとしりぞけることで、…硬直した社会へと仕上げていくのだ。

川の消滅は橋の消失でもある。橋という境界を失うことにより、土地は境目なしにただの連なりとなり、固有の相貌を失い、のっぺら棒となる。…ゴテゴテした建物の林立した都市の姿はしていても、あの敗戦の日のどこまでもガレキの広がっていた焦土の廃墟と同じであり、つまり現在私たちはあの廃墟の上に建った幻影の都市に住んでいるのである。