愛と欲望のナチズム (講談社選書メチエ)

愛と欲望のナチズム (講談社選書メチエ)

 

 ナチズムが旧来の性道徳を批判し、性愛の歓びを率直に肯定することで、20世紀初頭以来の「性の解放」を促進した面があったのだと。

ナチズムの大衆支配は、性の解放とその道具化に根差していた。

同性愛は男性国家の悪疫であるから、「慎みをもって」射殺せねばならないのだ。

結婚によるかどうかに関わらず、出産という最高の義務から逃れようとする少女は、兵役拒否者と同様に敵前逃亡をはかるものである。

 現在の二ホンの権力がナチスに学ぼうとしているなら、「健康的なエロス」「大和魂の母子」なるものが立ち上げてくるのではなかろうか? おぞましい世界なり。