マコの宝物

マコの宝物

 

 作者は牙の人かあ。出所したのか良かった。恐らくは自伝みたいなものかなあ。荒井まり子さんのエッセイも随分前に読んだけど、丁寧な本だった。

まれびとの樵のおばさん。尿瓶フェチ。子供たちのデイサービス自主興行。小児麻痺のキヨちゃん。くじら肉や猪肉がタンパク源だった頃。ハーモニカをめぐるマコとノコの葛藤。35歳独身の野中、高校生になったコウちゃん、百姓仕事の手伝いに来るいっきょうさん。ボケて死んだ吉田のおばあちゃんの形見分け。マコに立ち小便をそそのかすガキ大将じいさま。アオダイショウや猿と話のできるじいさまは脳卒中で死んだ。徴兵不合格を促進させた過去。

こうした人々はたぶん、どこにでもいた人たちだったのだろう。忘れられてしまっただけなのだ。