太陽のない街

大日本印刷主婦の友社のコラボで、この劇画調の表紙。

千川どぶは、すっかり旧態を失って、無数の地べたにへばりついた様なトンネル長屋の突出に、押し歪められて、台所の下を潜り、便所を繞り、塵埃と、コークスのカラと、空き瓶や、襤褸や、紙屑で川幅を失い、洪水に依って、やっとその存在を示しているに過ぎなかった。

なんて一文はツボをおさえた名文ではなかろうか。

男女の会話が奔放なのもイイ。そして、幾分のドライなミステリー仕立て。昔の日活映画風のスラップスティック仕立てでもある

中盤から後半にかけての冒険活劇。擬音語が飛び交い、未来派の詩みたいだったり、コミックみたいだったりする。

争議は完全敗北。妹を殺された姉が薬物テロで僅かに意趣返し。