人魚の嘆き・魔術師 (中公文庫)

人魚の嘆き・魔術師 (中公文庫)

 

欧羅巴では、人魚ならぬ人間までも、ひたすら彼の女の艶容を学んで、多くの女が孰れも人魚と同じような、白い肌と、青い瞳と、均整な肢体の幾分ずつを具備しています。

おぉ、何という白人崇拝。人魚はナポリ生まれでオランダ人に囚われていた由。

 

魔術師はまんま乱歩の世界。無論、乱歩の方が後継なのだけど。浅草六区より猥雑な架空の公園を皮蛋に喩える辺りは谷崎ならでは。

魔術師は、両性具有的であるとともに、人種混淆的であることも。

そして遂には、人ならざるものに、いや、生き物ですらないモノに、悦んで変えられてしまうのである。