潤一郎ラビリンス〈7〉怪奇幻想倶楽部 (中公文庫)

潤一郎ラビリンス〈7〉怪奇幻想倶楽部 (中公文庫)

 

 ・病蓐の幻想…歯痛から地震に怯える主人公。大森房吉の怪しげな学説が吉村昭作品とオーヴァーラップ。ボードレールランボーの原詩が出てくるのは意外。

・人間が猿になった話…浅ましい四つ足に見込まれた芸者。ある意味,獣姦モノか? 獣の魔力を追い却けるだけの力がないと気の弱い人間は命までとられてしまうというのだ。

・魚の李太白…縮緬で拵えた鯛が喋り出す。我はお酒の海に住む李白なのだと(汗) こんなんが結婚式の引き出物だった時代なのだな。

・美食倶楽部…「胡弓の糸が急調を帯びて若い女の喉を振り搾るような鋭い声を発すると,それが伯爵には何故か龍魚腸の真っ赤な色と舌を刺すような強い味いとを想い出させる。それから忽ち一転して涙に湿る濁声のような,太い鈍い,綿々としたなだらかな調に変ずると,今度はあのどんよりと澱んだ,舐めても舐めても盡きない味が滾滾と舌の根もとに滲み込んで来る,紅焼海参のこってりとした羹を想像する」なんて辺りの感覚を総動員した文章はやはり谷崎だな~。味わってもらいたいのは噫(おくび・げっぷ)なのだ…ってw 果ては暗闇の中での女性による顔面→口腔マッサージ(^_^;) もはやグロまで行き着かないとアカンのか?? 高麗女肉とかワルノリだろ(-_-;)

☆☆★