ベートーヴェンの生涯 (岩波文庫)

ベートーヴェンの生涯 (岩波文庫)

 

 何と、最初の作品を除いて、それ以降は聴覚を喪っていたのだな。童貞として初恋の女性にも裏切られ、それを振り払うかのように名曲を産む。

ウイーンの町はベートーヴェンに対し真の同感を持ったことは実は一度もない、のだと。彼らは軽佻浮薄なロッシーニを選んだと。

1810年代には、ほとんどの友人と後ろ盾を失った。1824年には荘厳ミサ曲と第九で喝采を浴びるも貧窮し、病気は悪化していた。

第五や第九の心を酔わせるフィナーレこそ、打ち倒された自分の肉体の上に、勝ち誇って光明に立ち上がる、解放された魂以外の何者であるか?