復興期の精神 (講談社文芸文庫)

復興期の精神 (講談社文芸文庫)

 

 いやもう、バルザックやロレンスやスタンダールを出汁にしてダンテを称揚する第一章から挑戦的でありんす。

レオナルドは、フィレンツェ王にせよフランス王にせよ、子供じみた人間どもの玩具にしたくなかったので、機械仕掛けの玩具をつくってやったのだ、と結論めいたことをいいつつも、直ぐに反語でこれを否定するといった修辞法!

クラヴェリナは水をかえると再生する。不透明な球状をした死が、自らのうちに、生を展開するに足る組織的な力を黙々とひそめていたのだ。←これはなかなか適切な比喩

ルターの凶相な肖像画についての文は痛快なり。宗教改革は視野狭小な連中の支持を受けてかれらの利害を代表するものに転落したのだと。

支配階級と所謂革命家達が戦争支持を強要するとき、アリストファネスは悪徳の宣伝に専心した。