別れの谷 (消えゆくこの地のすべての簡易駅へ)

別れの谷 (消えゆくこの地のすべての簡易駅へ)

 

 炭鉱閉山後の地方都市の駅。赤毛のシムとチワワの死。掴みはOKだ。

表題作の主人公シンの不器用すぎる人生。

北東アジアを彷徨う慰安婦スンネの虚ろな両目。白い切符。

壮絶な夏と冬である。

駅前にパン屋を開いた不幸な生い立ちの女。そして、ドンスに繋がる数奇な運命。

様々なものを見てきた「別於谷」駅こそが、隠れた主人公である。

いささか出来過ぎだが、一気に読めた。