野川 (河出文庫)

野川 (河出文庫)

 

 端正ながら美麗でもある冒頭の地理描写にまず敬意を払う。これまた、筆者は同世代なのだった。地を這うような地質時代からの永い歴史と、鳩に代表される鳥瞰を散りばめて、中二の少年の訳アリな家庭状況(文京区辺り?との対比も)と、少し変わった教員や先輩との関係もあまり現代的ではなくて面白い。何しろ筆者もハンドルネームにしてるくらい、野川沿いには思い入れが深いのである。