〈戦後〉の誕生―戦後日本と「朝鮮」の境界

〈戦後〉の誕生―戦後日本と「朝鮮」の境界

 

 まず、第一章の中野敏男の文章がシャープで目を啓れる。

丸山真男ファシズム批判を思想化するため、軍隊システムの中にあったはずの殖民地/民族問題を捨象したと考えられる。

しかし、第三章以降が退屈だった。第七章を除いては。

いずれにせよ、日本の戦後は朝鮮の消去の上にある、というテーゼは逆に言うと、

朝鮮の勃興は日本の戦後の虚妄を浮かび上がらせる、ということか。