少年が来る (新しい韓国の文学)

少年が来る (新しい韓国の文学)

 

 一章から、腐敗が進んで膨れた女性の遺体の描写。ハタとウタに囲繞された遺体たち! 軍人に殺されたのに…。否が応でも少年は魂について考える。

どこかニホンの党派小説を想起させたりもするが、主人公はまだ幼く、主義主張を持ってもいない。三章の女性編集者は60-70年代の女子学生のようだ。そしてアングラ劇。

人口四十万の都市を制圧するために、軍人に支給された弾丸は八十万発だった。

戦時中に虐殺をしておいて褒賞を受けた人たちが、その記憶を身に付けて私たちを殺しにきた。遺伝子に刻み込まれたみたいに同一の残忍性で。

六章は鎮魂歌、エピローグはSF仕立ての種明かしである。