・白兎…満洲残留の悲喜劇。新京には環状線が走ってたのか。敗戦数日前でも日本酒が飲めたのか。まぁ、しかし酒喰らって、中国人街をうろついて、息子に「兵士や官僚になるな」と説教する主人公ってどーなんだ。

・苦いお茶…満洲以来、ナー公と上野図書館で再会した主人公は新宿で飲んだ。それだけの話だが、ペーソスに溢れる。

・市外…護国寺雑司ヶ谷鬼子母神辺りのお話。不思議な青一色の絵を描く少女が、いかにもこの辺りにふさわしく印象的。

・無門庵…クリーニング屋や大工、屑屋なんてのが、御用聞きに来ていた時代。うん、貧乏暮らしで門もない家とはいえ、小市民の私小説。ほー、五輪前に路上のゴミ箱が撤去されたのか。

軽石朝鮮戦争の頃には、釘古釘が高値になったという。しかも、 中島飛行機の焼け跡が一番だったと。 なんだ、作者は四軒寺辺りに住んでたのか。