燃えるキリン  黒田喜夫 詩文撰

燃えるキリン 黒田喜夫 詩文撰

 

 とりあえず「ハンガリヤの笑い」が良い。私も「社会主義的なトカイ酒」や「辛子のきいたスープ」を呑みたい。

そして「毒虫飼育」の「アパートの四畳半」で蚕に青菜をきざむ「おふくろ」に「どこかの国のコルホーズの話し」でもして眠らせようとする映像のどぎつさ。

「くらい日曜日」の運河沿いの煉瓦の山から、女の肩に手をまわし、「ただのバス通りじゃいやだわ」といわれて「旧式旋盤一台ある家」や「木工場の跡」を通りすぎて、また運河に至る京浜工業地帯の陰鬱な情欲。

確かにココにはプロレタリア文学のテイストが横溢している。暗殺の武器には土棒(槌棒)。なにやらユーモラスなイラストがピッタリだ。