ピョンヤンの夏休み――わたしが見た「北朝鮮」

ピョンヤンの夏休み――わたしが見た「北朝鮮」

 

 うん、心地よい紀行文だ。この人の文章を初めて読んだ。東由多加とはまた懐かしい名前だ。デラシネだった筈が、朝鮮から戻ると「こころを祖国に置き去りにし、からだだけ日本に持ち帰ったような違和感からしばらく脱することができない」のだ。そして、「ただ見る。肯定的にも否定的にも捉えない。見ることによって現実に近づき、想像することによって現実から離れ、また見て、現実の只中に戻り、見て想像した対象を揺すり起こして文章を書く」という反復行為。リ・オッキさんの体験は凄まじいな。そして、白頭山の樹海、見てみたいなあ。