オナニスムの秩序

オナニスムの秩序

 

 ・人間が宗教的道徳的存在ー「である存在」ではなく、「であるべき存在」-とされるとき、性は、人間存在の一部に残された動物的残滓として、身体、それも一部分に局限されたものとみなされることになる。

・自慰と性交とは、目ざす他社に違いがあるわけではなく、性的他者という同じ目標に至るまでの、2つの違った道のりにすぎない。自慰がいわば、空想の他者を現実の他者とすることによって性的他者となすものであるとすれば、性交は、現実の他者を空想の他者とすることによって性的他者とすることであると言っていいだろう。

・自然への関係、他者への関係がモノの言語、商品に置き換えられ、直接的には、自然からも、他者からも切り離された人間にとって、残された唯一の直接的関係は、自己自身への関係、自己自身とのコミュニケーションしかない。

・自慰はもう、私が他者に向かって身震いすることではなく、他者が否応なく私を身震いさせることになってしまったのだ。私が自慰の中に他者を求めるのではなく、他者が私に自慰を迫るのだ。

もはや30年以上前に予言されたように「自慰商品」なるものに取り巻かれ、幸福な窒息状態にあるという感じなのか。めくるめき予言と云えようか。☆