トマト・ゲーム (ハヤカワ文庫 JA ミ 6-6) (ハヤカワ文庫JA)

トマト・ゲーム (ハヤカワ文庫 JA ミ 6-6) (ハヤカワ文庫JA)

 

 ・トマト・ゲーム…ふみゅ,世代的には大して変わらないけど,バイクなんて興味のなかった私には未知の世界。「酔ってだらしなくなった男の子というのが,こんなにかわいらしい生き物だとは知らなかった」という独身中年女は母親世代になるのか。「軍隊というところは,正常な人間をもホモ・セクシュアルに仕立て変えてしまうところ」なんだそうな。スピードとスリルが久々の月経を誘発しましたとな(*_*;

アルカディアの夏…コノハズクがハツカネズミを喰らう描写が良いな。15歳の下北沢で頭脳警察の♪いとこの結婚式のライヴを聞くなんて令ちゃん,完全に私と同世代Σ(・∀・;) 男妾であるパパ(弓削)の商売は,広告やデザインの仕事よりゼロックスコピーの方が金になる…ぬぁんて時代だわさw   大人達が令に対し「自分たちの正常さを誇らしく思った」ので「優越感を感じた」なんて部分が酷薄で面白い。

・獣舎のスキャット…少年院帰りの弟の部屋に盗聴器を仕掛ける姉…って(・_・;)  「与える愛ではない。奪う愛」「踏みにじり,陵辱し,意のままにすることによって,満たされる愛」はしかし,当然のように手痛いしっぺ返しを受けることになる。ラストの獣姦には,確かにスキャットが似合う,か?

・蜜の犬…運送屋とガソリンスタンドの店員が20人ほど寝泊まりをする寮。輪姦される少女が復讐を誓う。…なんて,エロ劇画展開だわ。ドーベルマンに調教する辺りの話が尻切れなのが残念。

・アイデースの館…ブルーフィルムに映された5つのデスマスクは,嘗て首相暗殺を狙った右翼テログループのものだった。アングラがオバグラに変わりつつある時代。武美や屋代や定雄や山田(仮)といった男たちに比べ,後妻や夏枝はしたたかだな。

・遠い炎…住む世界の違いが小学校の同級生(今では階級差が低年齢化してるのでこんなケースは少ないのかも)を再び出会わせた>主婦と家政婦という形で。しだいに,嘗てのイヤな思い出が蘇り,精神に異常をきたす妻。良江こわいよ良江。

・花冠と氷の剣…幼稚園時代に少年たちに放尿される私刑を受け,中学では裁ち鋏で自殺を計った絢子。左手が右手より大きなフェンシング部員の和重。二人が医者と患者として出逢って性交渉を持つのだが,特に進展もなく,焦げた犬って何だったの??

・漕げよマイケル…医者志望の高校生の殺人と同性愛のお話。ふみゅ,40年も前の作品なのに古さを感じない。しかし,今ならネット絡みの内容になって興醒めかもしれぬ。

 

実は皆川氏の小説を読むのは初めて。面白かったわ。☆★