37年ぶりに読んだ。あくまで獄中の草稿ということで,完成形には程遠いのだが,キャラ立ちしていながら,存在感が希薄という,まるでアニメやゲームの世界観みたいなのだな。ミエミエに図式的というのが貶し言葉でなく,褒め言葉になるという稀有な小説である。ブランジ公爵の娘ジュリイとアリイヌ,キュルヴァル法院長の娘アデライド,デュルセ収税請負人の娘コンスタンス,これに匿名の司教が絡んで,放埒な性関チャートを繰り広げる。しかし,「埒をあける」だの「腎水」だのって表現は渋龍以外に読んだこと無いな。サイズが一々尺貫法なのもどーなんだ? コレは新訳が待たれますね。☆