藤村のパリ

藤村のパリ

 

 へえ,ジプチって約100年前はフランス領だったんか。

島崎藤村は必ずしも豊かとは言えないパリで,演劇・美術・学問の大家と出逢っている。ロシアから来たニジンスキー小山内薫と見る。場末のアトリエで異邦人のボエミアン達と出逢い,藤田嗣治を始めとするニホンの画家達とも関わる。河上肇(このヒトは意外と愛国主義であったらしい)とともに,ドビュッシー自ら演奏して名声を確立する音楽会に立ち会う。一方で,郡虎彦のような女誑しとも出逢う>(藤村自身もそうであるように)洋行者とは須らく不倫の果てか?  面白いのは,マリー・シモネーなる下宿の女将の年齢を執拗に調べる河盛だが,藤村41歳・(マドモアゼルだった)マリー56歳と判明して,読者に判断を委ねている(^O^;)

カイヨーのスキャンダル,第一次大戦(世界大戦とはいっても欧州内での大戦であった)勃発とリモージュへの疎開,そして牧歌的とも言える空襲体験,イヴォンヌなるコカイン中毒のモデル…。

モンマルトルにフーリエの石像があったなんて初耳だ。☆