小説 ゴジラ (スーパークエスト文庫)

小説 ゴジラ (スーパークエスト文庫)

 

 横浜から沖縄まで一月の船旅って時代かぁ…。一方,大戸島は北緯24度,東経141度と示されていることから,ほぼ硫黄島の辺りと推定できるけど>大戸島出身の新吉は東京からどうやってあっさり帰れたんだろうか? 硫黄島は既に「復帰」してたということなのか?? 「S国あたりの飛行機か,潜水艦」という表現があるが,このS国はソ連かな?  東京ゴジラ団なる初耳の愉快犯が出てくるけど,全く設定を活かしきれていない。山根博士曰く「あの侏羅の王者を電気椅子にかけるとは,狂気の沙汰だ!」という発言は「あのゴジラが,最後の一匹だとは思えない」と同じくらい黙示録的である。まぁ,香山滋の「原作」自体がせいぜい16000字程度の緩い大筋に過ぎなかったのだから,この膨脹ぶりは快挙といってもよかろう。

で,アンキロサウルス。脳髄が体内各所に分散し,他の生物に対しては「てっていてきなにくしみをもち」と何故か全てひらがな記述。形態だけならガメラに近いのだけれど,飛び道具を持たない(原作ではゴジラ同様「白熱光」を吐くという設定になっている,ちなみにゴジラ放射能光線を吐くという記述は見られない)のは圧倒的に不利。あっさり大阪城の堀の藻屑と消えました…。で,話は唐突に北海道へ飛び,戦闘機隊生き残り現自衛隊員の御活躍。ゴジラは雪崩の氷に包まれてジエンドって安直さ(*_*; 面白いのは,当時の女の子の欲しがるモノとして,ハンドバッグ・時計・ナイロンの靴下が挙げられていること。☆