“声”の国民国家・日本 (NHKブックス)

“声”の国民国家・日本 (NHKブックス)

 

 コレって今現在の話かも。アイドルもマンガもスポーツもオンガクも浪花節なのだから。☆

・近代日本がかかえた都市の暗部のなかでも「最暗黒」といわれた芝新網町から,日本の近代を席巻する浪花節は成長した。

・方言とは位相を異にした語りことばの流通が日本社会の言語的アイデンティティを形成してゆく。日本語・日本社会の均質性とは,網野氏が強調するような,支配者側から一方的に押しつけられた幻想などではなかった。

日露戦争前後の北九州は,大陸への前線基地として異様な活気を呈していたのだが,壮士講談の演説口調をとりいれた「悲憤慷慨調」の赤穂義士伝には,かつて三国干渉の主役となったロシアにたいする敵討という気分が重ねあわされたろう。

・文字どおり無頼の者たちの擬似的ファミリーの同業者組織のなかで,親方への孝,兄弟分の信義といった社会公認のモラルが典型的に担われてゆく。

天皇の臣民としての平等幻想が,既存のヒエラルキーにたいする暴力的破壊の論理を正当化する。国体という大義の基でう「君側の奸を除く」式のテロルが容認されるのである。