管野スガ再考―婦人矯風会から大逆事件へ

管野スガ再考―婦人矯風会から大逆事件へ

 

 一方で,念入りに紡ぎ出された「妖婦」,他方で,(男性性を浸食する)「革命家」という,須賀子をめぐる二つの表象が,処刑後僅かの内に出揃った。「妖婦」は言うまでもなく,この「革命家」も,男を破滅へ引きずり込んでいく「女」にほかならない。

つまり,当時の男性は荒畑寒村堺利彦も宇田川文海も(幸徳秋水大杉栄は保留),管野スガを持て余したのであろう。しかも,獄入り即病状悪化の孤立無援。「社会」を築くために避けられない「犠牲(にえ)」と位置づける悲惨。自由恋愛論の実際は圧倒的男性優位だし。☆