堕落論 (角川文庫)

堕落論 (角川文庫)

 

 高校生の頃に読了できなかったのを40年ぶり位に読了。この人の推断には賛否半ばする感じ。☆★

・キモノとは何ぞや? 洋服との交流が千年ばかり遅かっただけだ。日本人の貧弱な体軀が特にキモノを生みだしたのではない。外国の恰幅のよい男たちの和服姿が,我々よりも立派に見えるにきまっている。→無条件に賛成◯

・人生水の泡のごときものだというのは「方丈記」の思想で,実際,タウトという人の思想はその程度のものでしかなかった。大雅堂は画室を持たなかったし,良寛には寺すらも必要ではなかった。彼らは,その精神において,あまりにも欲が深すぎ,豪奢でありすぎ,貴族的でありすぎたのだ。→意味不明?

・武蔵の剣法というものは,敵の気おくれを利用するばかりでなく,自分自身の気おくれまで利用して,逆にこれを武器に用いる剣法である。→安吾は長生きしてればスポーツ評論家にでもなってたんではあるまいか? 青春論の半分を宮本武蔵に費やすのは独創的ではある。

・私は偉大な破壊を愛していた。運命に従順な人間の姿は奇妙に美しいものである。笑っているのは常に十五,六,十六,七の娘たちであった。私は焼け野原に娘たちの笑顔を探すのがたのしみであった。→これはルポとしては勝れて文学的である。六十の老醜より二十の美女を好む…ってのも,わかり易すぎる言い草だが,うーみゅ夢は夜ひらくか? コレ?

・農村精神とは脱税を案出する不撓不屈の精神で,浮浪人となって脱税し,農民たちの小さな個々の悪戦苦闘の脱税行為が実は日本経済の結び目であり,他への不信,排他精神というものは農村の魂であった。→よーするに農村がキライなのは解るけど,へーそんなもんなのか? 「天皇は知らなかった,命令してもいなかった」ぬぁんて言い草は通用しねぇだろw 

漱石や藤村や荷風(さらにドスト?)を一刀両断。しかし,執筆日記みたいなんは退屈。で,小林秀雄とかを持ち上げるのは論外。

・知性あるところ,女は必ず悪妻となる。ふむふむ。でも,まことの知性あるものに悪妻はいない…ってなんじゃそりゃ。

・最後の太宰のスポークスマンみたいなフツカヨイ文章はゴミ過ぎて,さすがに読むに堪えない。M・Cをマイ・コメジアンと訳すのは流行ってたん??