犠牲のシステム 福島・沖縄 (集英社新書)

犠牲のシステム 福島・沖縄 (集英社新書)

・内村は,日本国および東京市が,これほど罪深い存在であるがゆえに,天が,神が,これを罰したのだとする。そこで「犠牲」になった者,死者たちは,国民全体の「贖い」,償いのために死んだのだということになる。この死者たちの犠牲があって初めて,日本国と東京市民の罪が償われて,道徳が回復される。

そりゃあ,師匠の内村鑑三がこんなんじゃあ,有島武郎が不倫心中したくなるのもわかるというものだわ>ま,道連れは良くないけど…。

・近代文明や現代社会への批判は,そのために天罰を必要とするわけではない。そうした批判は,近代文明や現代社会が「犠牲」を生み出し続けることへの批判にならざるをえない…。

しかし,何やら空気を読み過ぎるキズナ社会では,犠牲の拡大再生産が続いていると思われる。

※沖縄については,野村浩也氏の論考に負うところが多く,殆ど異議はないです。