沖縄軽便鉄道は死せず

沖縄軽便鉄道は死せず


この筆者の本を読むのは初めて。もう80近い人とは知らなかった。ミステリーというよりはアドヴェンチャーゲイムみたいな感覚で,鉄道や武器やらへの蘊蓄を披瀝しながら,個性ある登場人物たちが次々に死んでいき,ヒーローヒロインが生き延びてハッピーエンド? あれ,ゴールドウィンはどーしたんだろうね? 一番笑ったのはヤンバルクイナ鍋のシーンかな。しかし,筆者は登場人物の口を借りて,随分とマトモなことを述べているのだった。「軍隊は軍隊を守るためにある」「平成のヤマトンチューはいうだろう……『商行為じゃないか』と」「日本軍は,朝鮮人やわれわれに日本語を強要しながら,心の中では日本人と認めていない」「たぶん正義は国旗や国歌と同義語なのだろう。それは国の数だけあり,勝った国の正義が本物の正義と認められ」「肌の色が違うだけで,人間を猿扱いする。それが不幸な戦争の遠因だと考えないのか? アメリカの新聞記者は」「玉砕という言葉は,中野学校の教科にない。華々しく死ねば靖国神社に祀られ神さまになれる。……楽なもんやないか」「戦争は悪党のせいで起きたんじゃない。善人どもが戦争を止めなかったからだ!」