モノホンのお嬢様の御話。自己の利潤にしか興味のない今日びの成金ブルジョワとは格が違うってことですかね? やはりサガン(この作家を30近くなって初めて読んで嵌った,と同時に後悔した…10代に読んでおかなかったことを)やボーヴォワールの翻訳にはこうした素養も必要だ。女子学習院の隠語…「おジャン」=授業開始終了のチャイム,「ごふ」=トイレ,「おすてー」「うれー」=すてき。p157のphotoなんざ,昨今のU-15アイドルを凌駕してるにゃ>段々,小池栄子顔になっていきますが…(汗)。ま,カレーなる人脈なんぞより,「崖上のブルジョワ家庭の,フランス語の形容詞を借りれば『黄金色の青春』を満喫している屈託ない少年少女たちの遊び……そこから飛んで来る球を崖下の子供たちはどう受けとめていただろう?」という問いかけや,「上野駅前の広場は一面真っ白の雪で,その向こうに飴棒のようにひん曲がった電柱が幾本もめらめらと燃えていた。…生命の跡絶えた焼野が原。…あまりにも非現実的な,白赤黒の巨大な絵図! 東京は廃墟と変じていた」という空襲描写などが印象深い。