「水」戦争の世紀(Mバーロウ+Tクラーク・集英社新書)ISBN:4087202186:image

第一部で現状をこれでもかと提示し,第二部でその裏に潜む構造を描き,第三部で展望を述べています。石油より水の方が直接生命に関わりますが,エネルギー企業が水に手を伸ばしてもいるのです。つい最近もアルゼンチンとフランスがスエズ社をめぐって論争に…

ISBN:4004309484:image(海老坂武・岩波新書)

明晰さを旨とする筆者をもってしても,哲学の話になるとやはり難解。かつて最もサクサク読めた「シチュアシオン」にしても,実際かなり暴力や人間やらの概念はキワドイ。全体としては硬軟取り混ぜ,まとまってるようで脱線するなど,読み物として相当面白い。

ISBN:4062127164:image(多田容子・講談社)

この人の本は4冊目。相変わらずゲーム感覚に溢れているが,エロはかなり図式的かも。真陰流の所作などはどーしても説明過多で却って分かり辛い(当然カタカナ厳禁だし)ので,こういう作品こそアニメ化してほしいものだ。十兵衛・牛之介・踏水鬼・小桐・忘…

敗戦日記(渡辺一夫・博文館新社)

ユマニスムにも祖国愛にも興味はないし,やや高踏的におもえるが…。 「その卑屈,その無智,その狡猾……あらゆる悪徳を実にケチ臭いほど少しづつ皆持合はせてゐるから恐ろしいのです,いかなる真も善も彼ら(日本人)からは生れません。(1945・10)」「『愛され…

ことばの色彩(川本茂雄・岩波新書)

読みながら,川本センセの授業を受けていた頃を思い出した。変形生成文法の話になると睡魔が…。いや,それ以外の下世話な話は楽しかったんですけど。取り上げられてる文章もバラエティに富んでる。あの頃は新聞も小説も未だ面白かったんだな。

くれない(佐多稲子・新潮文庫)

1936年の作品であることを解説読んで知った。21世紀になっても,掃いて捨てるほどあんだろーな,こんなヨロメキ私小説。そこに監獄への面会やオンナの自立などがスパイスとして加わるのは60・70年代にも多くあったパターン。だから,結婚こそが最大の変態な…

ISBN:4788796325:image(串田孫一・時事通信社)

「文化というものは,ある底辺を持った根強さはあるが,その上に築かれている部分は意外に脆いものであって,愚かな権力者が現れて,その文化を無駄なものだと無茶なことを言い出すと,簡単に崩れて,抵抗力がない。みんな落ちるところまで落ちると,却って…

(Rバルト・みすず書房)ISBN:462208113X:image

トイレで2ページずつ読んだ。記号学の話以外はさほどめんどくないし,時代遅れというわけでもない。株式会社をフラ語ではソシエテアノニム(匿名社会)っていうのね。

地図の記号と地図読み練習帳ISBN:4885955602:image(大沼一雄・東洋書店)

新地図から文字がゴチックになり,温泉が所謂温泉マークに戻るなどの変化があったのね。地図がやや小さいので,版型をもう一回りは大きくしてほしかったところ。それでも基礎知識が確認でき,充分行った気にはなる。

ISBN:4622080451:image(JLフィリップ・みすず書房)

「朝のコント」を読んで感心したのは18歳のとき。その姉妹編とも呼ぶべきこの本をようやく読むことができたのだが,むしろ陰鬱で死の影に憑かれて殆ど救いのない噺が中心のように思われる。ユーモアも灰色というか…。いや,絶望の世紀である21世紀にこそしっ…

ISBN:4001121476:image(S&Dルーゲ・岩波少年文庫)

筋にはついていけんが,<この世も終わり くつ屋><巨人ザラトウスキー>などのキャラは立っている。

ラウラの日記(Rピウミーニ・さえら書房)

何となく既読感があるのは,文章がブログみたいだからなんだな。四年生のイタリア人少女って設定だが,作者は60近いオッサン(ロベルトって名前からすると)なんだよな。南欧とマグレブは近い。ガンブリなる民族楽器が最後にちょっとしたオチになるんだな。…

地図の想像力(若林幹夫・講談社選書)

んで? と云いたくなる形而上学的な地図論。いくら10年前とはいえ,新味に欠ける内容。

タブーの漢字学(阿辻哲次・講談社現代新書)

>>「色」は,ひざまずいた女性を後ろから抱き,背後からおおいかぶさってまじわっているさま,すなわち「後背位」というラーゲ,いわゆるバックからの性交のさまをかたどった漢字である。面白かったのはココだけ。他は眉に唾つけつつ退屈なので流し読み。

トニオ・クレエゲル(Tマン・岩波文庫)

改版といっても大した変化はなさそう。やおい風に始まり,何やら芸術家の懊悩に包まれるほぼ100年前の小説は現代的かも。ドイツ人にありがちな地中海紀行でなくデンマーク行きってのが新鮮。

 パスクワル・ドゥアルテの家族(CJセラ・講談社)

母・妹・二人の妻…この主人公になっていたかもしれないと思わせる業のみは認めよう。でも,大した話ではない。